社長のお金の相談先はどこ?税理士・銀行・保険営業・FP・公的窓口を比較
この記事の要点
- 相談先ごとに得意分野と立場が違います。「誰からお金をもらっているか」を見ると、提案の傾向が分かります。
- 税金の計算や申告、個別の税務判断は税理士の仕事です。FPや保険の営業は代わりにできません。
- 事業承継や経営全般の悩みは、国が設けた公的窓口に無料で相談できます。
役員報酬、退職金、保険、借入れ、会社の引継ぎ。社長のお金の悩みは幅が広く、1か所ですべて片づくことはまずありません。
この記事では、主な相談先5つを比べ、悩みごとにどこへ行けばよいかを早見表にまとめました。
5つの相談先を比べる
| 相談先 | 得意分野 | 費用の目安 | 立場 |
|---|---|---|---|
| 税理士 | 決算・申告、節税策の税務判断、税務調査の対応 | 顧問料や作業ごとの報酬(事務所ごとに異なる) | 顧問先の会社から報酬を受ける。商品を売らない |
| 銀行 | 融資、資金繰り、口座・決済、取引先の紹介 | 相談は無料が一般的。融資の利息や手数料がかかる | 貸し手。自行の商品や融資が前提になりやすい |
| 保険会社の営業(代理店を含む) | 保険の設計、保障の見直し、保険を使った退職金準備 | 相談は無料が一般的 | 保険が売れると手数料を受ける。扱う会社の商品の中から提案 |
| 独立系FP | 会社と個人のお金をまとめた資金計画、制度や商品の比較 | 相談料は事務所ごとに異なる。無料で商品販売の手数料を受ける形もある | 特定の金融機関に属さない。ただし収入源は事務所ごとに確認が必要 |
| 公的窓口(事業承継・引継ぎ支援センター/よろず支援拠点) | 事業承継、後継者探し、売上や経営全般の課題 | 相談は無料 | 国が設けた中立の窓口。特定の商品は売らない |
事業承継・引継ぎ支援センターとよろず支援拠点は、国が全国に設けている窓口です(事業承継・引継ぎ支援センターは47都道府県すべてにあります)。出典:中小機構 事業承継・引継ぎ支援センター、よろず支援拠点・生産性向上支援センターとは
それぞれの立場と注意点
税理士:税務の判断はここが本命
税金の申告書を作る、税務相談に応じる、といった仕事は、税理士法で税理士だけに認められています。無料であっても、税理士でない人が原則として行うことはできません。
「この支出は経費になるか」「この方法で役員退職金を出して問題ないか」といった個別の判断は、顧問税理士に確認するのが原則です。
出典:国税庁 税理士法違反行為、No.9204 にせ税理士にご注意
一方で、税理士は保険や資産運用の商品比較までは扱わないことも多いです。得意分野は事務所によって差があります。
銀行:資金繰りの相棒、ただし貸し手
融資や資金繰りの相談は、まず取引のある銀行です。決算書を見てもらう関係を作っておくと、いざというときに話が早くなります。
ただ、銀行は貸し手であり、保険や投資信託を販売する立場でもあります。提案が自行の商品に寄るのは自然なことだと理解して聞きましょう。借入れの個人保証は経営者の個人保証の記事で解説しています。
保険会社の営業:保険の中身には詳しい
保障の設計や商品の細かい違いは、保険の営業が一番詳しい分野です。相談料がかからないのも利点です。
その代わり、保険が売れることで手数料を受け取ります。「保険で解決する」方向の提案になりやすい点は押さえておきましょう。今の保険が合っているかは、保険のセカンドオピニオンの記事も参考になります。
独立系FP:全体を並べて比べる役
独立系FPの役割は、会社と社長個人のお金を一枚に並べ、制度や商品を横に比べることです。役員報酬、退職金、共済、保険などを、つながりとして整理できます。
ただし、独立系FPも万能ではありません。
- 税務の個別判断や申告はできません。最終確認は税理士です。
- 保険などを販売して手数料を受け取るFPもいます。「独立系」でも収入源は事務所ごとに違うため、最初に確認しましょう。
- FPは国家資格(FP技能士)や民間資格(AFP・CFP)がありますが、それだけで経営や税務の専門家というわけではありません。
公的窓口:無料で中立、まず話を聞いてもらう場所
事業承継・引継ぎ支援センターは、親族や社員への承継、第三者への引継ぎ(M&A)の相談に応じる国の窓口です。よろず支援拠点は、売上や資金繰りなど経営全般の相談に応じます。
どちらも無料で、商品を売る立場ではありません。必要に応じて専門家につないでもらえます。承継の流れは事業承継の記事で解説しています。
どこに相談すればよいか分からないお金の悩みも、まず整理するところからお手伝いします。
悩み別の早見表
| 悩み | まず相談する先 | あわせて相談したい先 |
|---|---|---|
| 決算・申告、経費になるかの判断 | 税理士 | なし(税理士の領分) |
| 運転資金や設備資金を借りたい | 銀行 | よろず支援拠点(資金繰りの整理) |
| 役員報酬の額を決めたい | 税理士 | 独立系FP(社長個人の手取りや将来資金との兼ね合い) |
| 社長の退職金を準備したい | 独立系FP(方法の比較) | 税理士(退職金の額と損金の判断) |
| 従業員の退職金制度を作りたい | 独立系FP(制度の比較) | 社会保険労務士(規程づくり) |
| 今の会社の保険が合っているか知りたい | 独立系FP(全体の点検) | 保険会社の営業(商品の細かい条件) |
| 後継者がいない、会社を引き継ぎたい | 事業承継・引継ぎ支援センター | 税理士(株価や税の試算) |
| 売上や経営全般の悩み | よろず支援拠点 | 銀行(資金面) |
| 相続税がいくらになるか | 税理士 | 独立系FP(納税資金や分け方の準備) |
相続税や退職金のおおまかな目安は、無料ツールでも確認できます。相続税の早見表、退職金の手取りシミュレーターをご利用ください。正確な税額は税理士にご確認ください。
相談先を上手に使うコツ
- 収入源を聞く。「相談料」「顧問料」「商品の手数料」のどれで成り立っているかで、提案の傾向が分かります。
- 資料をそろえる。直近の決算書、保険証券、借入れの一覧があると、どの相談先でも話が早くなります。
- 1か所で決めない。大きな契約や制度の導入は、立場の違う相談先にも意見を聞いてから決めましょう。
- 税理士に共有する。FPや保険の営業の提案は、契約の前に顧問税理士にも見てもらうと安心です。
相談の前に、会社のお金の状況を整理しておきたい方は無料PDFチェックシートもお使いください。
よくある質問
FPに節税の相談をしてもよいですか?
制度の仕組みや選択肢の比較はFPに相談できます。ただし、個別の税務判断や申告書の作成は税理士の仕事です。最終的な確認は税理士に行ってください。
保険の営業に相談すると、必ず保険を勧められますか?
必ずではありませんが、保険が売れると手数料を受け取る立場のため、保険を使った提案が中心になりやすいです。他の方法とも比べたい場合は、立場の違う相談先にも意見を聞くとよいでしょう。
公的な相談窓口は本当に無料ですか?
事業承継・引継ぎ支援センターとよろず支援拠点は、国が設けた窓口で、相談は無料です。専門家に実際の手続きを依頼する場合などは、別に費用がかかることがあります。
LINEで友だち追加だけでもOKです。気になったことをLINEで気軽に質問できます。
強引な勧誘はしません ・ 全国オンライン対応 ・ 初回60分無料
この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の判断を行うものではありません。税務の個別判断は税理士にご確認ください。公的窓口の支援内容は変わることがあるため、各窓口の案内でご確認ください。内容は2026年10月時点のものです。
