事業保障の必要保障額の計算方法:社長に万一のとき、会社に必要なお金
この記事の要点
- 社長に万一のとき会社に必要なお金は、借入金の返済、運転資金(固定費の数か月分)、死亡退職金・弔慰金の3つに分けて計算できます。
- 3つのお金を足し、すぐ使える預金と今入っている保険の分を差し引いた額が、必要保障額の目安です。
- 必要保障額は会社の状況で毎年変わります。決算を終えたときや、借入・役員報酬が変わったときに見直しましょう。
中小企業では、社長が売上も信用も支えています。社長に万一のことがあると、会社のお金は一気に苦しくなります。
そのとき必要なお金は、3つに分けると計算できます。表と例で説明します。
会社に必要なお金は3つ
| 必要なお金 | なぜ必要か | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 借入金の返済 | 銀行から返済を求められることがある | 借入金の残高 |
| 運転資金 | 売上が落ちても固定費は出ていく | 月の固定費 × 数か月分 |
| 死亡退職金・弔慰金 | ご遺族の生活と相続税の支払い | 役員退職金規程に沿った額 |
運転資金は、固定費の6か月分から1年分を見込むのが一つの目安です。立て直しにかかる期間で考えます。
社長が借入の連帯保証人になっている場合、その保証は原則としてご家族に引き継がれます。会社で返せるお金を用意しておくことが、ご家族を守ることにもなります。
- 1社長に万一売上・信用が落ちる
- 2保険金が会社へ会社が受取人
- 3返済と固定費会社を続ける
- 4退職金・弔慰金ご遺族へ支給
計算例:必要保障額はいくら?
次の会社で計算してみます。
- 借入金の残高:8,000万円
- 月の固定費(人件費・家賃など):500万円
- 社長の役員報酬:月100万円、在任20年
- すぐ使える預金:2,000万円
| 借入金の返済 | 80,000,000円 |
|---|---|
| 運転資金(500万円 × 6か月) | 30,000,000円 |
| 死亡退職金(100万円 × 20年 × 功績倍率2.0) | 40,000,000円 |
| 弔慰金(業務外:100万円 × 6か月) | 6,000,000円 |
| 必要なお金の合計 | 156,000,000円 |
| すぐ使える預金 | −20,000,000円 |
| 必要保障額 | 136,000,000円 |
この会社では、約1億3,600万円が準備の目安です。御社の数字では必要保障額シミュレーターで計算できます。すでに入っている保険があれば、その分を差し引きます。
功績倍率は2.0から3.0あたりが一つの目安とされます。相場は役員退職金の相場の記事でくわしく解説しています。
会社が受け取った保険金は、原則として会社の利益(益金)になり、法人税の対象になります。一方で、支払った死亡退職金は、相当な額であれば経費にできます。税金の分まで見込むかは、顧問税理士と確認してください。
御社の決算書と借入の残高で、必要保障額を無料で計算します。
弔慰金と死亡退職金の非課税の目安
ご遺族が受け取る弔慰金と死亡退職金は、一定額まで相続税がかかりません。
| 相続税がかからない額 | |
|---|---|
| 弔慰金(業務上の死亡) | 死亡当時の普通給与の3年分 |
| 弔慰金(業務外の死亡) | 死亡当時の普通給与の半年分 |
| 死亡退職金 | 500万円 × 法定相続人の数 |
普通給与は、役員報酬などの月額です。月100万円の社長なら、弔慰金は業務外の死亡で600万円、業務上の死亡で3,600万円までが目安です。
弔慰金がこの額を超えると、超えた分は死亡退職金として扱われます。死亡退職金は、亡くなってから3年以内に支給が決まったものが相続税の対象です。
死亡退職金の非課税枠は、相続人が受け取った場合に使えます。法定相続人が3人なら1,500万円です。
保障額を見直すタイミング
必要保障額は、会社の状況で毎年変わります。次のときは見直しをおすすめします。
- 決算を終えたとき(毎年1回)
- 新しく借入をしたとき、返済が進んだとき
- 社員が増えて固定費が上がったとき
- 役員報酬を変えたとき
- 事業承継の準備を始めたとき
- 保険の更新時期が近づいたとき
借入が減れば、保障を減らして保険料を下げられることもあります。逆に、借入が増えたのに保障がそのままという会社も少なくありません。
数字を集める
決算書、借入の残高、役員報酬を用意します。
必要額を計算
3つのお金を足し、預金と今の保障を引きます。
過不足を調整
足りない分を補い、多すぎる分は減らします。
社長ご自身の退職金の準備は、法人NISAの記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
運転資金は、何か月分を見ておけばいいですか?
固定費の6か月分から1年分を見込むのが一つの目安です。立て直しにかかる期間で考えます。
会社が受け取った保険金には、法人税がかかりますか?
会社が受け取った保険金は、原則として会社の利益(益金)になり、法人税の対象になります。税金の分まで見込むかは、顧問税理士と確認してください。
遺族に払う弔慰金は、いくらまでが相続税の非課税の目安ですか?
死亡当時の普通給与で、業務上の死亡なら3年分、業務外の死亡なら半年分が目安です。月100万円の社長なら、業務外で600万円、業務上で3,600万円までです。
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この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の税務判断を行うものではありません。保険金や退職金の税務の扱いは、顧問税理士にご確認ください。内容は2026年9月時点のものです。
