中小企業の福利厚生:社員の給与として課税されないものの一覧と要件
この記事の要点
- 食事補助の上限は、2026年4月1日以後の食事から月7,500円(税抜)に引き上げられました。
- 社員旅行は「4泊5日以内」「参加者が全体の50%以上」などが目安です。
- どの制度も「全員が対象」「社会通念上相当な額」が共通の条件。役員だけが対象だと給与扱いになりえます。
社員のために会社がお金を出す。その中には、従業員の給与として課税されず、会社の福利厚生として扱えるものがあります。
ただし、要件を外れると「現物の給与」とされ、源泉徴収が必要になります。この記事では、国税庁の資料で確認できた要件だけを表にまとめました。
主な福利厚生と要件の一覧
「給与として課税されない」ための主な要件です。金額は、国税庁で確認できたものだけを載せています。
| 項目 | 主な要件 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 食事補助(昼食など) | 本人が食事の価額の半分以上を負担し、かつ会社負担が上限以下 | 会社負担が月7,500円(税抜)以下 |
| 残業・宿日直の食事 | 残業や宿日直のときに現物で支給する食事 | 無償でも可 |
| 深夜勤務の夜食代(現金) | 夜食を現物で出せない場合に、夜食代として現金で支給 | 1回650円(税抜)以下 |
| 社員旅行 | 4泊5日以内、参加者が全体の50%以上、少額不追求の趣旨を逸脱しないもの | 国税庁の資料に金額の基準なし |
| 慶弔見舞金 | 結婚・出産の祝金品は雇用契約等に基づくもの。香典・災害見舞金も含め、地位などに照らし社会通念上相当な額 | 国税庁の資料に金額の基準なし |
| 永年勤続表彰 | おおむね10年以上勤続した人が対象。同じ人を2回以上表彰するときは、おおむね5年以上の間隔。記念品や旅行・観劇への招待 | 勤続年数や地位に照らし社会通念上相当な額 |
| 健康診断(人間ドック) | 一般的な人間ドック程度で、一定年齢以上の希望者は全員受けられ、受けた人全員の費用を負担 | 国税庁の資料に金額の基準なし |
| 制服 | 職務の性質上、制服を着なければならない人に支給・貸与する、日常生活で使わない身の回り品 | 国税庁の資料に金額の基準なし |
出典:国税庁 No.2594 食事を支給したとき、No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行を行ったとき、No.2591 永年勤続者に記念品などを支給したとき、質疑応答事例「人間ドックの費用負担」、所得税基本通達9-23、源泉徴収のしかた「給与所得の範囲」
食事補助:2026年4月から上限が変わりました
食事の現物支給の上限が、2026年4月1日以後に支給する食事から引き上げられました。
| 2026年3月まで | 2026年4月から | |
|---|---|---|
| 食事補助(会社負担の月額) | 3,500円以下 | 7,500円以下 |
| 深夜勤務の夜食代(現金・1回) | 300円以下 | 650円以下 |
次の2つを両方満たすことが条件です。
- 本人が、食事の価額の半分以上を負担している
- 「食事の価額 − 本人負担」が月7,500円(税抜)以下
たとえば月13,000円の食事で本人負担が6,000円だと、本人負担が半分未満です。この場合、差額の7,000円が給与として課税されます。
食事の価額は、弁当なら業者に払う金額、社員食堂なら材料費や調味料など直接かかった費用の合計です。
金額はいずれも消費税等を除いた額です。10円未満の端数は切り捨てます。出典:国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」
福利厚生と退職金の制度を、会社の規模に合わせて一緒に整理します。
社員旅行・永年勤続表彰の注意点
社員旅行
- 役員だけで行く旅行は、従業員レクリエーション旅行にあたりません。給与や交際費などとして処理します。
- 自己都合で参加しなかった人に金銭を渡すと、参加者も含めた全員に、その額の給与を払ったものとされます。
永年勤続表彰
- 記念品や旅行への招待に代えて、現金や商品券を渡すと、その全額が給与として課税されます。
- 表彰の旅行にマイルを使う考え方はカード納付とマイルの記事で触れています。
共通の条件と、役員だけが対象のとき
どの項目にも共通する考え方は、次の2つです。
- 全員が対象:役員など特定の人だけでなく、従業員全員が受けられること。
- 社会通念上相当な額:一般的に行われている程度で、地位などに照らして高すぎないこと。
役員だけを対象にした行事の費用は、国税庁の通達で課税の対象とされています。人間ドックも「希望者は全て受けられる」「受けた人全員の費用を負担する」が条件です。
社長や家族役員だけが使う形では、福利厚生として扱われない可能性が高いと考えてください。規程を作り、全員に周知しておくことが大切です。
出典:国税庁 所得税基本通達36-30ほか(給与等に係る経済的利益)
退職金や保険と組み合わせる
福利厚生は、毎年の手当だけではありません。従業員の退職金も、長く働いてもらうための福利厚生です。
- 国の退職金制度「中退共」は、新しく入ると掛金の一部が助成されます。中退共の助成金の記事
- 養老保険を使う福利厚生プランも、全員加入が条件になる点は同じです。ハーフタックスプランの記事
自社に何が合うか分からないときは、1分でできる無料診断から始めてください。
よくある質問
食事補助の月7,500円は、いつから使えますか?
2026年4月1日以後に支給する食事から適用されます。それより前は月3,500円でした。本人が食事の価額の半分以上を負担することも条件です。
社員旅行に参加しない人に、代わりにお金を渡してもよいですか?
自己都合の不参加者に金銭を渡すと、参加者を含む全員に、その額の給与を払ったものとされます。注意が必要です。
社長だけが人間ドックを受けて、会社が払っても大丈夫ですか?
国税庁の事例では、一定年齢以上の希望者は全員受けられ、受けた人全員の費用を負担する場合に、給与として課税しなくてよいとされています。役員だけが対象だと給与扱いになりえます。
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この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の判断を行うものではありません。実際の取り扱いは、顧問税理士や税務署にご確認ください。内容は2026年10月時点のものです。
