従業員の退職金制度の作り方:中退共・企業型DC・養老保険を比較
この記事の要点
- 中退共と企業型DCは掛金の全額が経費になり、お金は従業員に直接支払われます。養老保険は経費になるのが半分で、お金は会社に戻ります。
- ざっくり言うと、手軽さなら中退共、社員の資産づくりなら企業型DC、会社の自由度なら養老保険です。
- まず退職金規程を作り、利益の見通しから無理のない掛金にして、決算ごとに見直しましょう。
「社員が増えてきたので退職金制度を作りたい」。中小企業でよく使われる方法は、大きく3つです。違いを1枚の表にまとめました。
3つの制度の比較表
| 中退共 | 企業型DC | 養老保険 | |
|---|---|---|---|
| 掛金の経費 | 全額 | 全額 | 半分 |
| お金を受け取る人 | 従業員に直接 | 従業員に直接 | 会社に戻る |
| 金額の自由度 | 低い | 低い | 高い |
| 運用する人 | 国の機構 | 従業員 | 保険会社 |
| 国の助成 | あり | なし | なし |
| 万一の保障 | なし | なし | あり |
ざっくり言うと、手軽さなら中退共、社員の資産づくりなら企業型DC、会社の自由度なら養老保険です。
中退共(中小企業退職金共済)
国の制度で、会社が毎月の掛金を払い、退職時に機構から従業員へ直接退職金が支払われます。
よいところ
- 掛金は全額経費
- 掛金は月5,000円から30,000円まで選べる
- 新しく入ると、国が掛金の一部を1年間助成
- 手続きが簡単
注意点
- 退職理由を問わず本人に支払われる
- 加入から1年未満の退職は支給なし、2年未満は掛金を下回る
- 役員は原則入れない
企業型DC(企業型確定拠出年金)
会社が掛金を出し、従業員が自分で投資信託などを選んで運用します。受け取りは原則60歳以降です。
よいところ
- 掛金は全額経費
- 会社は運用結果に責任を負わない
- 転職しても持ち運べるので、採用で魅力になる
- 社長も加入できる
注意点
- 導入に規約づくりと申請が必要
- 毎月の運営手数料がかかる
- 社員への投資教育が必要
- 60歳まで引き出せない
養老保険(福利厚生プラン)
会社が契約者、従業員が被保険者の保険です。満期金や解約返戻金は会社に入り、それを退職金の財源にします。
- 1会社が契約従業員全員が対象
- 2保険料の半分福利厚生費で経費
- 3満期・解約お金は会社へ
- 4退職金を支給規程に沿って
よいところ
- お金が会社に戻るので、支給額やタイミングを規程で決められる
- 在職中に亡くなった場合は、ご遺族に保険金が出る
注意点
- 経費になるのは保険料の半分
- 原則として従業員全員の加入が条件
- 早く解約すると払った保険料を下回る
御社の人数と利益で、どの制度がいくらかかるか試算します。
おすすめの組み合わせと始め方
| 会社の状況 | 組み合わせの例 |
|---|---|
| まず制度を作りたい | 中退共だけで始める |
| 採用に力を入れたい | 企業型DC + 中退共 |
| 長く勤める人に厚くしたい | 中退共で土台 + 養老保険で上乗せ |
退職金規程を作る
いつ、誰に、いくら払うかを決めます。
制度と金額を選ぶ
利益の見通しから、無理のない掛金にします。
毎年見直す
決算ごとに人数と積立を確認します。
社長ご自身の退職金は、従業員の制度とは別に準備します。法人NISAの記事と、退職金の手取りシミュレーターもあわせてご覧ください。
よくある質問
社長も、従業員と同じ制度に入れますか?
中退共は役員は原則入れませんが、企業型DCは社長も加入できます。社長ご自身の退職金は、従業員の制度とは別に準備します。
中退共だけでは物足りない場合、どうすればいいですか?
長く勤める人に厚くしたいなら、中退共で土台をつくり養老保険で上乗せする組み合わせがあります。採用に力を入れたいなら、企業型DCと中退共の組み合わせもあります。
社員がすぐに辞めた場合、中退共の退職金はどうなりますか?
加入から1年未満の退職は支給がなく、2年未満は掛金を下回ります。また、退職理由を問わず本人に支払われます。
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この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の税務判断を行うものではありません。中退共の加入条件や助成、企業型DCの掛金の上限は、制度の案内でご確認ください。内容は2026年9月時点のものです。
